• 弁護士古賀象二郎

福岡の弁護士が同一労働同一賃金を解説4~不合理な待遇差,新型コロナウイルスについても

最終更新: 6月27日

<本日の内容>

1 非正規労働者への新型コロナウイルス感染拡大の影響と「同一労働同一賃金」

2 パートタイム・有期雇用労働法8条の待遇の合理性(均等・均衡待遇)


1 非正規労働者への新型コロナウイルス感染拡大の影響と「同一労働同一賃金」

 新型コロナウイルスの甚大な影響のため,「同一労働同一賃金」の話題がマスメディア上であがってくる機会はあまり多くないように思います。しかし,最近のマスメディアで,新型コロナウイルスの経済状況への悪影響の対応として,非正規労働者が雇用の調整弁として扱われ,正規労働者に比べて急速な待遇悪化を被っているとの記事を少しずつ聞くようになってきました。もうしばらくすれば,統計データで非正規労働者が置かれている実態を把握できるようになるでしょう。


<性から生へ ジェンダーを超える 番外編>非正規女性、窮地に コロナ禍、弱い立場鮮明 給与補償受けられず/職業への差別も露呈(北海道新聞,2020年5月9日)

 私の弁護士としての立場は,事業主側・労働者側と最初から守備範囲を定めるのではなく,強いて言えば,長期的展望に基づく事業の実現と,そのための労働者の待遇向上など事業に関係する人や物事との調和といったことへの法的視角からの貢献を目指していることは,まずお断りしておきます。

 その上でですが,「同一労働同一賃金」は,非正規労働者を低コストの労働者,有事の際の雇用の緩衝材として扱うことを否定し,正規労働者との間の不合理な待遇差の是正を求めるものです(さらに今回の改正前から,パートタイム労働者と有期雇用労働者について,それぞれ異なる規定で,正規労働者との不合理な労働条件(待遇)の是正が求められていたことも,すでに述べたとおりです。)。困難な状況の今こそ,「同一労働同一賃金」の意義を強調しておきたいと思います。


2 パートタイム・有期雇用労働法8条の待遇の合理性(均等・均衡待遇)

 それでは,今回もパートタイム・有期雇用労働法8条について解説を続けます。

 前回の記事で,待遇の不合理性は,それぞれの待遇ごとに個別に判断すると説明しました。

 では,待遇の不合理性(条文の文言でいえば,「不合理と認められる相違」。)とはどういうことかについてですが,これはパートタイム・有期雇用労働法15条に基づいて策定・公表された「同一労働同一賃金ガイドライン」(平30・12・28厚労告430号)が,不合理性判断の基本的な考え方と具体的な内容を示しています。この「同一労働同一賃金ガイドライン」をみると,個々の待遇ごとに,①待遇の性質・目的にあたる事情が通常の労働者と同様にあてはまるパートタイム・有期雇用労働者には同一の取扱い(均等待遇)を,②事情に一定の違いが認められる場合にはその違いに応じた取扱い(均衡待遇)をすることが求められ,この均等・均衡待遇が実現されていなければ,不合理な待遇の相違となると解することができます(水町・前掲86頁)。

 「同一労働同一賃金」というスローガンを聞くと,直感的には,上記①のみを想定してしまいそうですが,パートタイム・有期雇用労働法8条では,上記②のとおり,それぞれの待遇の前提事情が通常の労働者とパートタイム・有期雇用労働者とで異なる場合でも,前提事情の違いに応じた均衡のとれた待遇(例えば,前提事情の違いに応じた割合的な手当の支給など。)の実現が求められています。


2020年5月9日

福岡市中央区 古賀象二郎法律事務所

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