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福岡の弁護士が未払残業代の仕組みを分かりやすく・詳しく解説~店舗等の総店長は管理監督者か(ことぶき事件(第二審))

【執筆した弁護士】

古賀 象二郎(こが・しょうじろう)弁護士

1974年,佐賀県鳥栖市生まれ。一橋大学経済学部を卒業後,民間企業に勤務。神戸大学法科大学院を経て,2009年に弁護士登録。

事務所名:古賀象二郎法律事務所(福岡市中央区) URL:事務所HP

日本弁護士連合会会員・福岡県弁護士会会員 URL:会員情報


★未払残業代請求の基礎知識についてはこちらをご覧ください。

福岡の弁護士が未払残業代請求(時間外手当,休日労働手当)の仕組みを分かりやすく・詳しく解説します


<本日の内容>

1 判例・裁判例ーことぶき事件(第二審)

1 判例・裁判例ーことぶき事件(第二審)

 未払残業代の請求に対し,使用者が労働者は管理監督者に該当すると反論し,それが認められた事例として,労働基準法41条2号によって深夜労働の割増賃金の規定も適用除外となるか争われたことぶき事件(最二小判平成21・12・18労判1000号5頁)の原審(東京高判平成20・11・11労判1000号10頁)を紹介しました。


福岡の弁護士が未払残業代の仕組みを分かりやすく・詳しく解説~管理監督者


 このことぶき事件(第二審)について,ここでは事案を含め詳細に検討します。


 まず,このことぶき事件(第二審)では,美容室及び理容室を経営する会社が,同社に所属していた労働者の退職時・退職後の行為が違法であるとして,その労働者に損害賠償請求をしたのに対し,労働者側が反訴として,未払残業代を請求しています。


 この労働者は会社の総店長の地位にあり,会社の中で代表取締役に次ぐナンバー2の地位にあって,高齢の代表取締役を補佐して会社の経営する理容業の各店舗・店長を統括するという立場にありました。

 会社の人事等その経営に係る事項については,最終的には代表取締役の判断で決定されていましたが,この労働者は代表取締役から各店舗の改善策や従業員の配置等といった重要な事項について意見を聞かれていました。

 平成16年11月以降,この労働者は代表取締役とともに毎月営業時間外に開かれる店長会議に出席していました。

 この労働者は,店長手当として他の店長の3倍にあたる月額3万円の支給を受けていて,平成16年3月時点の基本給は月額43万4000円と,他の店長の約1.5倍程度の支給を受けていました。なお,平成16年4月には従前の基本給が1割減額されて39万0600円となっていました。

 この労働者は,店舗の営業時間に合わせて,平日は午前10時,土曜日と日曜日は午前9時に出勤し,午後7時半に退社していました。


 判決は,まず,管理監督者とは,一般には労務管理について経営者と一体的な立場にある者を意味すると解されているが,管理監督者に該当する労働者については労基法の労働時間,休憩及び休日に関する規定は適用されないのであるから,役付者が管理監督者に該当するか否かについては,労働条件の最低限を定めた労基法の労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるをえない重要な職務と責任を有し,これらの規制になじまない立場にあるといえるかを,役付者の名称にとらわれずに,実態に即して判断しなければならないと述べます。


その上で,

・労働者は,会社の総店長の地位にあり,会社の中で代表取締役に次ぐナンバー2の地位にあって,高齢の代表取締役を補佐して会社の経営する理容業の各店舗・店長を統括するという重要な立場にあった。

・会社の人事等その経営に係る事項については最終的には代表取締役の判断で決定されていたが,この労働者は代表取締役から各店舗の改善策や従業員の配置等といった重要な事項について意見を聞かれていた。

・平成16年11月以降,代表取締役とともに毎月営業時間外に開かれる店長会議に出席していた。

・店長手当として他の店長の3倍にあたる月額3万円の支給を受けていて,平成16年3月時点の基本給は月額43万4000円と,他の店長の役1.5倍程度の支給を受けており,総店長として不十分とはいえない待遇を受けていた。

として,これらの実態に照らせば,この労働者は会社の総店長として,名実ともに労務管理について経営者と一体的な立場にあった者ということができ,労基法に定められた規制の枠を超えて活動することが要請されざるをえない重要な職務と責任を有していて,これらの規制になじまない立場にあったものと認めることができるから,労基法41条2号の管理監督者に該当するものと認められると判断しています。


 なお,この労働者が,店舗の営業時間に合わせて,平日は午前10時,土曜日と日曜日は午前9時に出勤し,午後7時半に退社していたことについては,出退勤の時間について店舗の営業時間に拘束されていたようにも受け取れるが,この労働者が店舗においてその店長や他の従業員と同様に顧客に対する理美容業務をも担当していたことからくる合理的な制約であるから,管理監督者に該当するとの判断を左右するものではないとしています。


更新日 2020年8月29日

福岡市中央区 古賀象二郎法律事務所

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