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福岡の弁護士が同一労働同一賃金を解説15~「特殊作業手当」

最終更新: 6月27日

<本日の内容>

1 「特殊作業手当」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断


1 「特殊作業手当」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

 昨日の予告のとおり,本日は特殊作業手当について検討して行きます。

 ここでは業務の危険度または作業環境に応じて支給される特殊作業手当で考えてみます。


 ①その性質・目的は,危険な業務や作業環境で業務に従事することへの代償となり,②業務の危険度や作業環境が主な考慮要素となります。したがって,③業務の危険度や作業環境が同一の労働者には,正規労働者かパートタイム・有期雇用労働者かを問わず,同一の支給をすることが求められます(水町・前掲103頁)。同一労働同一賃金ガイドライン(第三の三(二))にも,「通常の労働者と同一の危険度又は作業環境の業務に従事する短時間・有期雇用労働者には,通常の労働者と同一の特殊作業手当を支給しなければならない。」とあります。


 こうした特殊作業手当は,最近耳にすることの多い「危険手当」に近いものと思われます。新型コロナウイルスの感染拡大のなか,自身の感染のおそれもある,治療現場の最前線で業務に従事する医療関係者に危険手当の支給を求める声はよく聞きますし,本年4月8日の 日経新聞朝刊では,ITシステムの開発業務などを受託するSHIFTが,取引先の都合で在宅勤務ができない労働者に危険手当の支払いを始めたともありました。システム開発や運用の業務を受託する国内IT企業は,客先拠点に常駐を求められることがあるため,同じく新型コロナウイルスの感染拡大のなかでも在宅勤務ができない労働者に対し,危険手当を支払って報いるとのことです。


 ここでの特殊作業手当と異なり, 業務の危険度や作業環境以外の作業の特殊性(例えば,職務の範囲では説明できないような,例外的な出来事への対応など。)に着目して支給される特殊作業手当も,会社によってはあると思われます。こうした特殊作業手当は,会社が特殊と考える特定の作業を行った対価として支給されるものですから,やはり,行った作業が同じであれば,正規労働者かパートタイム・有期雇用労働者かを問わず,同一の支給をすることが求められるでしょう。

 同一労働同一賃金に各社が対処するには,結局のところ,優先順位をつけつつも最終的にはあらゆる待遇について,その性質・目的,支給基準,支給実態を再確認する作業から始めることとなります。特殊作業手当を支給している会社があれば,それが何のための支給であるのかなど,改めて検討しみてください。改正前の労働契約法20条をめぐる判例では,特殊作業手当の支給の不合理性が争点の一つとなりましたので,検討の際の参考になると思います(ハマキョウレックス(差戻審)事件・最二小判平成30・6・1民集72巻2号88頁)。この事案では,会社は特殊作業手当の支給対象となる特殊作業の内容を定めていなかったため,いずれの作業を支給対象とするか各事業所の判断に委ねられていると解釈されました。そして,裁判の当事者である有期雇用労働者が所属していた事業所では,正規労働者と有期雇用労働者で職務の内容が異ならないのに,正規労働者のみに一律月額1万円を支給しているとして,それは不合理であると判示されています。 

2020年5月20日

福岡市中央区 古賀象二郎法律事務所

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