• 弁護士古賀象二郎

福岡の弁護士が同一労働同一賃金を分かりやすく・詳しく解説~賞与

最終更新: 9月29日

【執筆した弁護士】

古賀 象二郎(こが・しょうじろう)弁護士

1974年,佐賀県鳥栖市生まれ。一橋大学経済学部を卒業後,民間企業に勤務。神戸大学法科大学院を経て,2009年に弁護士登録。

事務所名:古賀象二郎法律事務所(福岡市中央区) URL:事務所HP

日本弁護士連合会会員・福岡県弁護士会会員 URL:会員情報

                                         

<本日の内容>

1 パートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断~賞与

2 実際の賞与支給の場面での対応

                                         

1 パートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断~賞与

 本日は賞与における同一労働同一賃金の考え方です。


 同一労働同一賃金ガイドラインでは,賞与のうち,会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものが取り上げられています(同一労働同一賃金ガイドライン第三の二)

 このとき,①賞与の性質・目的は,会社の業績等への労働者の貢献に応じた支給ですから,②その主な考慮要素は,労働者それぞれの会社の業績等への貢献となります。したがって,③正規労働者と同一の貢献であるパートタイム・有期雇用労働者には,貢献に応じた部分につき,正規労働者同一の賞与を支給をしなければなりません。また,貢献に一定の相違がある場合においては,その相違に応じた賞与を支給しなければなりません。


 同一労働同一賃金ガイドラインでは,問題とならない例イとして「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給している。」とあり,また問題となる例イで「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給していない。」,問題となる例ロで「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社においては、通常の労働者には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない。」とあります。上記の考え方からして,これらいずれも理解できると思います。


 先般の新聞記事では,大手銀行のうち,これまで非正規労働者には賞与を支給していなかったが支給を決めた会社が紹介されていました。そうした会社の賞与の性質・目的は分かりませんが,正規労働者には支給し,パートタイム・有期雇用労働者には支給しないことを合理的に説明できる賞与の性質・目的は,多くはないように思われます。


★3メガバンクの非正規労働者の処遇改善等についてはこちらをご覧ください。

大手銀行の非正規労働者の処遇改善と採用減,富士通の取り組み


2 実際の賞与支給の場面での対応

 さて,上記同一労働同一賃金ガイドラインの考え方は,理解はできる一方で,実際の賞与支給の場面を想定してみると,もう一歩踏み込んで考えておく必要があります。賞与の考え方は各社様々ではありますが,比較的よく見られる各労働者の賞与支給額を決める方式として,

  ①基本給×②月数×③評価係数

で検討してみましょう。


 ①基本給は,これまで検討してきたように,その支給の性質・目的はさまざまなものがあります。②月数は,会社業績と連動していることが多いでしょうか。③評価係数は,会社の業績等への労働者の貢献によることが多いように思います。

 すなわち,賞与というのは,その支給方法の実態からすると,単一の性質・目的のものではなくて,①基本給(職能給,成果給,勤続給,職務給など),②月数(会社の業績),③評価係数(会社の業績等への労働者の貢献)という,複合的な形態の待遇ととらえるべきものです。

 

 こうした複合的な形態の待遇における同一労働同一賃金の考え方は,複合的な形態の基本給におけるのと同様,各要素で正規労働者とパートタイム・有期雇用労働者との均等・均衡を図ったうえで総合するというのが一つの考え方です。


★複合的形態の基本給における同一労働同一賃金の考え方についてはこちらをご覧ください。

福岡の弁護士が同一労働同一賃金を分かりやすく・詳しく解説~昇給,複合的形態の基本給


 その考え方によれば,同一労働同一賃金ガイドラインが言及するのは,上記でいえば要素のうちの③評価係数についてであり,その他の要素である①②については,その性質・目的に応じた均等・均衡待遇を別途図る必要があるということになると思われます。


 同一労働同一賃金ガイドラインの解説書もこうした考え方にあると思われ,「実際には,基本給額の違いは別に検討される…として,賞与の支給月数については,会社業績への貢献の点で正社員と短時間・有期雇用労働者との間に特別の違いがあるとは認められない場合には両者には同じ月数,会社業績への貢献に一定の違いが認められる場合…にはその違いに応じた月数で支給することは不合理とはいえない」と述べ,賞与についての同一労働同一賃金の考え方は「支給月数」において反映されるとしています(水町勇一郎「『同一労働同一賃金』のすべて(新版)」(有斐閣,2019年)102頁)。


★同一労働同一賃金について,こちらでさらに詳しく解説しています。

福岡の弁護士が同一労働同一賃金を分かりやすく・詳しく解説します

                                         

更新日 2020年9月29日

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