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福岡の弁護士が同一労働同一賃金を解説13~「賞与」

最終更新: 6月27日

<本日の内容>

1 「賞与」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

2 実際の賞与支給の場面での対応


1 「賞与」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

 本日は賞与における同一労働同一賃金の考え方です。


 同一労働同一賃金ガイドラインでは,賞与のうち,会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものが取り上げられています(同一労働同一賃金ガイドライン第三の二)

 このとき,①賞与の性質・目的は,会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給ですから,②その主な考慮要素は,労働者それぞれの会社の業績等への貢献となります。したがって,③正規労働者と同一の貢献であるパートタイム・有期雇用労働者には,貢献に応じた部分につき,正規労働者同一の賞与を支給をしなければなりません。また,貢献に一定の相違がある場合においては,その相違に応じた賞与を支給しなければなりません。


 同一労働同一賃金ガイドラインでは,問題とならない例イとして「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給している。」とあり,また問題となる例イで「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給していない。」,問題となる例ロで「賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社においては、通常の労働者には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない。」とあります。上記の考え方からして,これらいずれも理解できると思います。


 先般のブログで,大手銀行のうち,これまで非正規労働者には賞与を支給していなかったが支給を決めた会社があることを紹介しました。そうした会社の賞与の性質・目的は分かりませんが,正規労働者には支給し,パートタイム・有期雇用労働者には支給しないことを合理的に説明できる賞与の性質・目的は,多くはないように思われます。


2 実際の賞与支給の場面での対応

 さて,上記同一労働同一賃金ガイドラインの考え方は,理解はできる一方で,実際の賞与支給の場面を想定してみると,もう一歩踏み込んで考えておく必要があります。賞与の考え方は各社様々ではありますが,比較的よく見られる各労働者の賞与支給額を決める方式として,

  ①基本給×②月数×③評価係数

で検討してみましょう。


 ①基本給は,これまで検討してきたように,その支給の性質・目的はさまざまなものがあります。②月数は,会社業績と連動していることが多いでしょうか。③評価係数は,会社の業績等への労働者の貢献によることが多いように思います。

 すなわち,賞与というのは,その支給方法の実態からすると,単一の性質・目的のものではなくて,①基本給(職能給,成果給,勤続給,職務給など),②月数(会社の業績),③評価係数(会社の業績等への労働者の貢献)という,複合的な形態の待遇ととらえるべきものです。そして,こうした複合的な形態の待遇における同一労働同一賃金の考え方は,複合的な形態の基本給におけるのと同様,各要素で正規労働者とパートタイム・有期雇用労働者との均等・均衡を図ったうえで総合することになると思われます。同一労働同一賃金ガイドラインが言及するのは,上記でいえば要素のうちの③評価係数についてであり,その他の要素である①②については,その性質・目的に応じた均等・均衡待遇を別途図る必要があると考えるべきです。


2020年5月18日

福岡市中央区 古賀象二郎法律事務所

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