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福岡の弁護士が同一労働同一賃金を解説12~「昇給」,複合的形態の基本給

最終更新: 6月27日

<本日の内容>

1 「昇給」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

2 複合的形態の基本給についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断


1 「昇給」についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

 昇給について考えてみましょう。昇給のうちの定期昇給は,労働者が勤続により能力を向上させてゆくという発想に基づき実施することが多いと思われます。

 したがって,①定期昇給の性質・目的は,勤続による能力の向上に応じた基本給の加給ですから,②その主な考慮要素は,労働者それぞれの勤続による能力の向上となります。したがって,③正規労働者と同様に勤続による能力の向上がみられたパートタイム・有期雇用労働者には,勤続による能力の向上がみられた部分について正規労働者と同一の定期昇給をしなければなりません。また,勤続による能力の向上に一定の相違がある場合においては,その相違に応じた定期昇給を行う必要があります(同一労働同一賃金ガイドライン第三の一(四))(水町・前掲101頁)。


 一方,昇給のうちのベースアップについては,同一労働同一賃金ガイドラインには記載されていません。しかし,ベースアップは物価上昇や会社の業績等を考慮したものであることが多く,また,それらは正規労働者のみならずパートタイム・有期雇用労働者にも及んでいることが通常です。したがって,これらの事情が正規労働者と短時間・有期雇用労働者で同様と認められる場合には同様のベースアップを,事情に相違がある場合においてはその相違に応じたベースアップを行う必要があると考えられます(水町・前掲101頁)。


2 複合的形態の基本給についてのパートタイム・有期雇用労働法8条の不合理性判断

 さて,これまで基本給(及び昇給)における同一労働同一賃金の考え方を検討してきました。ただ,基本給については,職能給,成果給,勤続給,職務給などのうちの複数の要素を組み合わせて設計されていることが多いと思われます(相当複雑化し,どのような性質・目的であるのか社内でも分かりにくくなっていて,人事制度改革のときに頭を悩ますことも。)。

 このような複合形態の基本給における同一労働同一賃金はどう考えるのかというと,「それぞれの部分について,…正社員と短時間・有期雇用労働者との均等・均衡を図り,これらを足し合わせて全体として均等・均衡を図るという方法(例えば職能給部分は60対50,成果給部分は40対35の場合,合計で100対85)をとることが求められている」とされます(水町・前掲99頁)。まあその通りなのでしょうが,実際に対応するとなると大変そうです。

 

2020年5月17日

福岡市中央区 古賀象二郎法律事務所

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