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大手銀行の非正規労働者の処遇改善と採用減,富士通の取り組み

最終更新: 9月29日

【執筆した弁護士】

古賀 象二郎(こが・しょうじろう)弁護士

1974年,佐賀県鳥栖市生まれ。一橋大学経済学部を卒業後,民間企業に勤務。神戸大学法科大学院を経て,2009年に弁護士登録。

事務所名:古賀象二郎法律事務所(福岡市中央区) URL:事務所HP

日本弁護士連合会会員・福岡県弁護士会会員 URL:会員情報

                                         

<本日の内容>

1 大手銀行の非正規労働者の処遇改善と採用減

2 富士通の取り組み

                                         

1 大手銀行の非正規労働者の処遇改善と採用減

 日経新聞の2020(令和2)年5月15日付朝刊で,大手銀行で非正規労働者の処遇改善が進んでいるとの記事が掲載されていました。

 具体的には,三井住友銀行・三菱UFJ銀行は,2020年度から賞与を支給することにしたとのことです。また,みずほ銀行は,以前から非正規労働者に賞与を支給していて,今般は,正規労働者に限っていた労働組合の加入資格を非正規労働者にも広げたとあります。以前の別記事で取り上げた,りそな銀行と埼玉りそな銀行の待遇改善についても書かれていました。


 この記事を単体として見ると,大手銀行が非正規労働者の処遇改善に積極的に取り組んでいるようにも見えます。しかし,2019(令和元)年10月19日付日経新聞の朝刊では,3メガバンクの採用減の記事が掲載されていました。日経新聞がまとめた2020年度の採用状況調査で,3メガバンクの内定が4年前に比べて7割弱減った,減少分は一般職に就く女性の採用枠の縮小でほぼ説明できるとのことです。


 大手銀行の非正規労働者は,現在,支店の窓口や事務センターに勤務することが多く,それは以前一般職の女性正規労働者が主に担っていた業務でした。上記10月19日付日経新聞によれば,銀行の来店客数は,ここ10年間で3~4割減少したとのことです。

 すなわち,3メガバンクについては,支店の窓口業務等縮小に伴い,一般職の女性正規労働者の採用を抑制し,さらに一般職の女性正規労働者が担ってきた業務を非正規労働者に置き換える措置を講じていたところに,同一労働同一賃金の要請に従って非正規労働者の処遇改善が行われたのであり,正規・非正規の社員区分は堅持しているように見えます。

 これに対し,りそなグループの人事制度は,正規・非正規の社員区分に関わらず,同じグレードの業務は同じ時給とされていて,社員区分の転換もあり得るものとなっています。こうした状況で社員区分間で依然差があった手当や休暇制度の見直しを行ったというのが,りそなグループによる今回の待遇改善です。

 非正規労働者の処遇改善といっても,3メガバンクのものと,りそなグループのものとは,根底にある正規・非正規の社員区分の考え方において大きな違いがあるように思われます。


同一労働同一賃金についてのりそなグループの取り組みについてはこちらをご覧ください。

同一労働同一賃金についてのりそなグループの取り組み


2 富士通の取り組み

 2020(令和2)5月10日の日経新聞朝刊で,富士通の人事戦略が記事になっていました。

 富士通は2021年3月期から,職務を明確にして働く「ジョブ型」人事制度を導入するそうです。課長以上の約1万5000人を対象に運用を始め,その後一般社員にも広げる,役割や権限による世界共通の「レベル」を決め,月額給与はレベルに応じるとありました。

 一般に「職務給」と言っても,基本給の要素の一つに過ぎず,それが基本給に占める割合や他の基本給の要素の年功的運用などからして,「職務給」要素の比重は,実はそれほどでもないという制度を見かけることがあります。また,本来の職務給は,職務に賃金が結びつく,すなわち仕事をする前に賃金が決まっているものである一方,昨今注目される「ジョブ型」人事制度は,人事評価で職務を考慮する,すなわち仕事の後に賃金が決まるものであり,本来の職務給ではないと指摘されることもあります。


 しかし,記事によると,今回の富士通の「ジョブ型」人事では,従来の年功要素を完全に廃止し,しかもそれは海外と同一基準での運用となるようですので,これは純粋な「職務給」制度に近いものなのかもしれません。


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更新日 2020年9月28日

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